研究概要 |
まず,産業構造の変化に関するデータ収集をおこなった.国内外を問わずさまざまな関係団体に問い合わせをしたり,できる限りの手段を通じて資料を調べたりしたが,市場構造の変化を統計的に解析可能ならしめるだけのデータ(月次データ)は残念ながら存在しない,と断ぜざるを得ない結果となった. データの収集作業にかなりの時間と労力を費やさざるを得なかったため,理論モデルの構築については見送り,シミュレーション・モデルの改良のみに着手した.これまでのところ,(1)消費者集団の行動を記述するため遷移確率を用いた統計物理学的な手法を導入し,(2)企業行動を記述するため強化学習のアルゴリズムを導入した. 今後の展開としては,以下のものを考えている. (1)消費者が購入対象企業を変更する遷移確率に関する重要なパラメータを内生化し,企業の宣伝・広告などの影響でこのパラメータが変化するメカニズムを組み入れる. (2)エージェントである消費者および企業に学習プロセスを導入し,より知的な振る舞いをするように改良する. (3)企業の戦略的行動として広告投資などを通じたブランド戦略を組み入れる.
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