研究課題
基盤研究(C)
本研究では製品差別化があるBertrand寡占の戦略変数が価格である場合、Bertrand均衡価格が安定するための十分条件を需要関数および費用関数がともに線形である場合に、2つの価格調整に関する動学体系-1つは同時的価格調整、もう1つは遂次的価格調整-を前提して分析した。いずれの動学体系においても、需要関数の係数行列の対角成分が非対角成分の総和よりも大きい場合には、Bertrand均衡価格は安定的であることが明らかになった。結果は"Simultaneous and Sequential Price Adjustments in Bertrand Oligopoly"にまとめられた。また本研究では、製品差別化を伴うBertrand複合とCournot複合における均衡の安定性の条件の関連性についても分析を行った。さらに、戦略変数が生産量である場合の製品差別化を伴うCournot寡占均衡の大域的安定性について国際学会(ギリシア)にて発表した。製品差別がない同質的Cournot寡占におけるエントリーの経済的影響については、Ruffin(1971)、Okuguchi(1973)その他が研究し、エントリーは均衡産業生産量を増加させ(したがって製品価格を下落させ)、一般的な費用関数と需要関数のもとでは、極限状態では寡占均衡価格と完全競争価格が一致することを明らかにした。製品差別がある場合には、企業の戦略変数が生産量であるCournot寡占とそれが価格であるBertrand寡占があり、これら2種の寡占における均衡が相違することがVives(1984)、Cheng(1985 Okuguchi(1987)によって明らかにされている。Levitan-Shubik(1971)、Krelle(1976)その他は、彼らの定式化した需要関数と費用関数のもとでは製品差別があるBertrand寡占においても企業関数が無限大になるとBertrand寡占均衡は完全競争均衡に一致することを示した。本研究では、一般的な需要関数と費用関数を伴う製品差別があるBertrand寡占においては、Debreu-Scarf的に各製品を生産する企業数が一様に増加した場合には、極限状態におけるBertrand均衡は必ずしも完全競争均衡に一致しないことが明らかになった。この結果は論文"Entry in Bertrand Oligopoly"にまとめられ、Urbino大学(Italy)で開催の学会Nonlinear Economic Dynamics 2005において発表された(この論文は国際的数学雑誌Pure and Applied Mathematicsの特集号に掲載される予定である)。さらに本年度の研究では、Cournot寡占における均衡産業生産量に関する中立性定理との関連においてpublic goodsとpublic badsに関する中立性定理の一般的証明を行い、論文"Neutrality Theorems on Public Good, Public Bad, and Cournot Oligopoly"にまとめ第61回Atlantic Economic Association大会(Berlin)で発表した。
すべて 2005 2004
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Pacific Economic Review 10
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Paul A Samuelson : 2nd Critical Assessments of Contemporrary Economics, Vol, Routledge, U.K, 2004(T.C Wood and M.Mclure(eds))
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