研究課題/領域番号 |
16530145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用経済学
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
長島 正治 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (70228013)
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研究分担者 |
貝山 道博 埼玉大学, 経済学部, 教授 (40096392)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 発展途上国 / タイ / 社会環境 / 保健・医療環境 / 経済環境 / 所得格差 / 医療環境 / 保健・医療サービス供給 |
研究概要 |
(1)タイ国内の地域別医療・保健関連データの収集およびパネル・データの作成 タイ国内を8地域(北部、東北部、中部、バンコック、バンコック周辺部、西部、東部、南部)に分け、各地域ごとに以下に示す各種医療・保健環境および経済環境を表わすデータ・べ一スを作成した。 (1)医療健康保険のカバー率、(2)各種医療保険の保険料、β)人口動態(人口増加率、人口密度、年齢階層別人口構成)、(5)地域別成人死亡率、(6)地域別乳幼児死亡率、(7)地域別出生率、(8)死亡原因における主要疾患、(9)地域別病院施設数、(10)地域別病床数、(11)地域別医師数、(12)地域別看護士数、(13)地域別公衆健康予算額、(14)地域別生産額、(15)地域別事業所数、(16)地域別物価水準、(17)地域別就学率、(18)地域別・産業別雇用者数。 (2)保険・医療サービス供給の社会経済効果計測用地域計量モデルの開発と政策シミュレーションの実行 東北部地域や北部地域といった貧困地域(人口豊富地域でもある)での保健・医療サービス供給を増加させれば、GDPおよび人口は共に増加し、その結果経済は拡大する。逆に、経済的に豊かな首都バンコックやその周辺地域(人口過密地域でもある)で保健・医療サービス供給を増加させれば、同じように人口は増加するが、GDPは減少し、その結果経済全体の一人当たりのGDPは減少してしまう。このことにより、経済は人口爆発による「貧困の罠」に陥り、経済の縮小をもたらす。同様の現象は、東北部地域や北部地域といった貧困地域での保険・医療サービス供給を増加させた場合にも起こり得る。しかしながら、それをさらに増加させることにより「貧困の罠」を脱出し、GDP、人口、および一人当たりGDPのいずれも増加させることが出来る。貧困地域への保健・医療サービス供給の重点配分は、経済の拡大をもたらすという意味では好ましいが、豊かな地域をさらに豊かにし、貧しい地域をさらに貧しくさせることによって地域間格差を拡大させてしまうという意味では好ましくない。また、豊かな地域への保健・医療サービス供給の重点配分は、豊かな地域の地域所得を低下させることによって地域間格差を是正するという意味では好ましいが、経済の縮小均衡をもたらすという重大な欠陥を持つ。ここに効率性と公平性のトレード・オフ関係が明確に存在することが明らかになった。
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