研究課題
基盤研究(C)
平成16年度中に作成し米国フィラデルフィアでの学会で報告した論文を拡張して、経済成長とともに所得分配ないし所得不平等への教育の影響を実証的視点から分析した。すなわち、都道府県別データを用いて1970年と1997年の間の労働者の平均教育年数の推移を教育拡大の指標として捉えるとともに、その間の所得不平等の変化を被説明変数として、初期水準(1970年)における所得のジニ係数、平均教育年数、教育不平等指標(教育ジニ係数)および実質経済成長率を説明変数として計量経済学モデルによる推定を行った。同時に、成長モデルにおける基本的な説明変数の選択、頑健性についての検討を行った。主要な推定結果として、所得の不平等の度合いの変化に対して、平均教育年数はプラス、教育不平等および経済成長率はそれぞれマイナスの係数値が得られた。平成17年度においては、この分析結果を米国ハワイでの学会(5月26-29日)および日本高等教育学会(5月21-22日(九州大学))において報告した。これら二つの学会では国内外の著名な研究者たちと有意義なディスカッションを行うことができた。また、中国の全31省のデータ(1996-1999)を用いて教育拡大、教育不平等と経済成長の関連について、教育ジニ係数と一人あたり省内総生産の成長率との関係を同時方程式モデルによって推定し、両者が相互に関連しあっていることを見出した。経済成長への教育不平等の効果については、教育不平等の低下が経済成長を促進させる、との結果を得た。さらに教育クズネッツ曲線の存在を検証し、平均教育年数と教育不平等が逆U字の関係にあること、すなわち、最近の中国では、教育拡大のひとつのあらわれとして労働者の平均教育年数の増大が確認されるとともに、教育不平等の程度が低下していることを、教育標準偏差、教育変動係数および教育ジニ係数の計測値によって確認した。
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Proceedings of 2005 Hawaii International Conference on Business (CD-ROM)
110007579389
日本高等教育学会第8回大会発表要旨集録
ページ: 51-52
Allied Social Science Associations, Philadelphia
Proceedings of 8th Conference of Japan Association of Higher Education
ページ: 50-51
Proceedings of 2005 Hawaii International Conference on Business (CD-Rom)
2005 Annual Meeting of the Allied Social Science Associations, Philadelphia, USA, January 7-9 (Presentation only)