研究概要 |
1.研究の目的 (1)研究代表者である中野が1994年に実施した「日本企業における管理者の倫理観」に関する調査結果との比較において、日本企業の倫理制度化と管理者の倫理観が、この10年間にどのような変化を遂げたかを把握する。 (2)企業倫理制度化の2つのタイプ(「コンプライアンス型」vs.{価値共有型」)と、組織風土の2つのタイプ(「管理志向型」vs.「自由闊達型)の間の望ましい組み合わせを模索する。 2.調査の実施と方法 (1)調査の実施時期:平成16年12月 調査の対象:東洋経済新報社『会社四季報』(2004年秋季号)に掲載されている株式上場会社全3,685社,および主要保険会社29社の計3,714社に調査表を郵送 (2)調査表の回収:有効回答数227社(有効回答数6.1%) 3.調査研究から得られた主な知見 (1)この10年間で、日本企業の倫理確立に向けた制度的取り組みの面においては、著しい進展が見られる。 (2)しかし、日本の管理者の倫理観には、それほど大きな変化は認められない。 (3)とりわけ、状況主義的(もしくは倫理相対主義的)傾向が強いという日本の管理者の特徴は、ほとんど変わっていない。 (4)ただし、管理者の倫理的意思決定に影響を及ぼす要因として、「会社の方針」の重要性は相対的に低下し、米国の管理者の倫理的意思決定パターンに近くなりつつある。 (5)「自由闊達型」の組織風土を持つ会社が「価値共有型」の倫理制度を構築する場合に倫理確立の成果がもっとも高く、「管理志向型」の組織風土で「価値共有型」の倫理制度が構築された場合、もっとも成果が低い。 (6)倫理確立の成果に対しては、倫理制度のタイプよりも、むしろ組織風土のタイプの方が強く影響していると言えそうだ。以上
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