研究概要 |
わが国における急速な少子化は,将来の社会経済全体に大きな影響を及ぼすものであり,政府,地方公共団体,企業が一体となって取り組まなければならない重要な問題である。この問題に取り組むためには,すでに少子化問題に取り組んだ経験を持っ国の対策,施策を参考にすることは有意義なことである。 フランスでは,育児に対する経済的支援制度が,家族給付や所得税減税,社会保障面での優遇措置など多岐にわたっている。また,休暇制度も整備され充実した制度になっている。保育所の整備は十分に進んでいるとはいえないが,それを補完する認定保育ママ制度が普及している。 オランダでは,ワークシェアリングの推進により,女性がパートタイム労働を中心に労働市場に参入し,企業や社会がそれを受け入れ,育児をしながら働くことが可能となった。 ノルウェーでは,次世代育成支援策が比較的充実している。各種休暇制度が整えられ,その期間中は手当てが支給され,仕事を持つ母親が安心して育児に専念できるようになっている。また,パパ・クオータ制により父親の育児参加がほぼ義務付けられており,父親の育児休暇取得率は約9割にも達している。保育施設の利用も積極的で,乳幼児の施設利用溺一般的になっている。 わが国でも,働く女性の多くは子供を預ける施設不足を感じている。認定保育ママのようなものを制度化するのも一方策である。また,父親の育児や家事への参加が積極的にできる仕組み,職場環境の創出も大切である。さらに,充実した経済的支援や,休暇制度,多様な働き方を認める仕組みなど,次世代育成支援先進国であるこれらの国々諸政策を,速やかに導入し,仕事と家庭生活のバランスがはかれる社会にしならなければならない。
|