研究概要 |
本報告書では、特に、私はテーマ分析の手法を念頭に置いてグラウンデッド・セオリーの方法と解釈学的現象学の方法をミックスしたデータに基づく解釈的方法を開発した。これは、アディソン(R.B.Addison,1989)のデータに基づく解釈的研究法(Grounded Interpretive Research)やムスターカス(Moustakas,1985,1990)の発見的方法の哲学的前提となっている、ハイデガーの手許にある理解-手許にない理解-手前に現前する理解の諸様式を参考にして開発されたデータ整理の方法である。 第一章ではW.L.Miller&,B.F.Crabtree(1999)らのいうフィールド研究スタイルと記録・歴史的研究スタイルとは何かについて見た。第二章では質的分析に欠かせない豊かなデータの収集法に関する議論を見た。第三章では、Giorgiの記述現象学(科学的現象学)の方法論とHycnerの方法について見た。第四章では、Packerの解釈学的現象学の方法論とAddisonのデータに基づいた解釈学的アプローチという方法について述べた。第五章では、CrabtreeやKingのテンプレート分析法について述べる。第六章ではすべてのアプローチに汎用的なBoyatzisのテーマ分析の技法について触れた。これは編集整理法の最も代表的な方法である。第七章ではMouskatasの発見的方法について述べた。第八章ではFeredayのテンプレート分析と編集整理法をミックスした方法について触れた。第九章ではStraussとCorbinの標準的なGTコーディング法について触れた。そして、第十章では、私の開発した絵画的方法とその適用例について述べた。
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