研究概要 |
"おむつ利用者の身体障害状況別にみたおむつ介護における介護負担に関する研究"という課題で研究を行った。その主な成果を以下に示す。 おむつ介護は介護作業において大きな位置を占めると考えられるため,施設介護における実態を知るべく特養96施設のおむつ利用者の心身障害状況と介護形態を調査した。その結果,おむつ利用率は62.3%であり,おむつ利用率は障害が重度になるほど増加し,おむっ利用者中の75%が何らかの障害を有していた。施設の介護者1名当たりのおむつ利用者数は,夜勤介護者1名当たりが日勤介護者1名当たりの3.6倍で顕著に多かった。また,1名のおむつ交換に関わる介護者数(交換要員数)が2名の施設は36%あり,大規模施設で多い傾向を示した(日本看護研究学会雑誌vol.27(No.2),77-84,2004)。 おむつ交換労力を軽減する可能性を探るため,1回のおむつ交換作業の従事者数(交換要員数)が1名と2名の場合の介護労力の差異について,おむつ交換モデル実験を行い定量的に検討した。おむつ交換作業を21サブタスクに分け,交換要員数が1名と2名の場合の作業時間,負荷量,疲労度を測定した。その結果,2名は1名に対して時間は約2/3(64%)に減少し,作業負荷量は約1/2(48%)に減少した。また連続交換による疲労度増加率は,2名が1名の場合の1/3に留まっていた。この結果から,1回のおむつ交換に関わる要員数が2名の場合は1名より有利である可能性が考えられた(介護福祉学vol.14(No.1),35-45,2007.4)。 さらに特養のおむつ利用者の関節可動域の測定調査を行い,その結果を基にして身体障害程度別(軽度・中度・重度)おむつ利用者モデルを作り,おむつ交換実験を行った。結果を今後解析し,報告する予定である。
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