研究概要 |
2002年2月実施の第10回全国初潮調査の分析を継続しつつ、2005年2月に第11回の全国初潮調査を実施し、コホート分析を含め、全体分析を行った。2005年調査では全国47都道府県の1,176校の小学校・中学校個人調査表を回収している。小学校4年生から中学校3年生、のべ49,636人の資料を回収した。これは母集団の1.4%に相当する。これにより過去11回の累計調査者は3,020,037人となった。時代推移を確認するとともに、興味関心と性成熟の関係を分析し、思春期に子どもへの関心が高まること、初潮に先行すること等を確認した。 (1)平均初潮年齢プロビット法を用いて計算した結果、12歳2.6ヵ月、標準偏差1歳3.6ヵ月であった。2002年2月の12歳2.0ヵ月に比較して、0.6ヵ月遅くなった。遅滞傾向というよりは、性成熟年齢の停滞傾向が持続していると考えられる。市部・郡部間にも差がない傾向も持続していることが確認された。 (2)付加質問である「あなたは、将来(大人になったら)何になりたいですか」への自由回答を分析した。小学校5年生から中学校3年生まで、保育士(幼稚園の先生等)が第1位となった。なお、小学校4年生では2位であった。また回答率のピークは中学校1年生の12.4%である。子どもと関わる職業への関心は、思春期における子どもや生殖性への関心の増大と考えられる。しかし、全学年で保育士回答者の既潮率は、平均より下回り初潮経験の直接的な影響ではないと考えられる。 このこどもに関わる職業への関心は、初潮に先行すると考えられる。なお、思春期変化としての性別受容の低下は中学校2年生で反転し、子どもへの関心とは異なる傾向を示した。これらにより、女子思春期における身体変化と心理的変化の多様性が改めて確認された。
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