研究概要 |
スクールカウンセラー(以下SC)の援助に対する意識や態度について中学生,高校生,大学生計361名を対象に自由記述調査が実施された(研究1)。内容を分類した結果,<遠慮>,<汚名への心配>,<呼応性への心配>,<相談スキル>,<自己開示の恐れ>,<カウンセリングへの馴染みの無さ>,<相談に対する態度>,<援助の肯定的側面>の9領域が抽出された。この記述をもとに36項目の被援助志向性尺度が作成された。研究2(予備調査)の目的は自由記述調査で抽出された被援助志向性尺度を量的調査で確認することであった。366名の中学生を対象に調査が実施され,<援助の肯定的側面>,<相談スキル>,<相談に対する懸念・抵抗感の低さ>,<遠慮の少なさ>,<自己開示の恐れの無さ>の5因子が抽出された。研究3(本調査)では中学生982名を対象に接触仮説の検証を目的に実施された。SCの認知,会話経験,相談経験と被援助志向性の各因子との関連が検討された。1)SCの認知では,認知している生徒の<援助の肯定的側面>,<遠慮の少なさ>,<相談に対する懸念・抵抗感の低さ>,<自己開示の恐れの無さ>の得点が肯定的であった。2)SCとの会話経験では,<相談に対する懸念・抵抗感の低さ>,<自己開示の恐れの無さ>の得点が肯定的であった。3)SCとの相談経験では,相談経験のある生徒の<援助の肯定的側面>,<相談に対する懸念・抵抗感の低さ>,<白己開示の恐れの無さ>の得点が肯定的であった。この結果はSCとの接触経験は相談に対する態度や意識を好転させるという接触仮説(Fischer & Farina,1995)を支持した。本研究成果の援助場面への応用として1)SCは生徒との接触場面を設定すること,2)非言語的アプローチ(徳田,2002),現実場面での援助(中村,2004)などの方法を検討する必要性が指摘された。
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