研究概要 |
主な成果は、以下のとおりである。 (1)個別音節の平仮名表記条件とローマ字表記条件で英語専攻者と非英語専攻者を被験者として測定した音読潜時を分析し、すべての被験者は、平仮名音読潜時のほうが有意に短い、英語専攻者のほうが非英語専攻者よりも平仮名音読潜時がはるかに短い、ローマ字条件で英語型の反応が見られる、ことを見出した。(2)上記の現象を2つの音節を事例として詳しく分析し、音節、/mu/の/m/の持続時間について、平仮名条件では英語専攻者と非専攻者とでは有意差が認められなかったが、ローマ字条件では、英語専攻者のほうが長くなる傾向を示した。また、/ra/については、非専攻者は、/* /を生成した。(3)難読児(小学6年)の日本語の文章の音読速度および音読速度学習に関する事例研究で、拍持続時間およびポーズ時間をスピーチ・アナライザーで計測し、その長さの特徴を記述した。また、反復音読の効果を実証した。(4)日本人学生(英語専攻者と非専攻者)を被験者として、英語音素/t/,/k/,/m/,/n/の持続時間を計測し、分析結果を報告した。(5)National Adult Reading Testのテスト項目とない、英単語の心理言語学的分析をおこなった。日本語母語話者におけるアルツハイマー病などの認知症患者を対象とした発症前の知能や読書能力を測定するための可能性について考察した。(6)英語専攻者と非専攻者を被験者として、英語単音節語の反復再生実験の結果を示した。反復潜時は、英語専攻者のほうが短い傾向を示すとともに、持続時間も短く、持続時間のパタンがモデルにより類似する傾向を見いだした。(7)英語上位群と下位群を被験者として、日英語の非単語の反復模倣実験の結果を報告した。特筆すべきは、7音節日本語非単語の再生における系列位置効果のひとつrecency effectの観察であった。
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