研究概要 |
本研究では指尖容積脈波の新しい応用可能性を拓くため,第1に,容積脈波を応用するベクトル分析法および指尖容積脈波ベクトル指数(VI)を提案し,容積脈波指標だけで構成される簡便な簡易ストレス反応型評価法を検討した(主に16・17年度).第2に,容積脈波による指動脈硬化の簡易評価法および簡易内皮機能検査法を開発した(主に18年度). 1.各種のストレス状況でVIは血圧と強い共変動を示し,ベクトル方向角の変化は微小なため,その推定手法の複雑さに伴う誤差を考慮すれば,むしろより簡便な規準化脈波容積(Normalized pulse volume ; Sawada et al.,2001)の単独での使用が優れていた。 2.指動脈弾性特性を記述する独自の指数関数モデル(Tanaka et al.,2005)を基にして,血圧測定を省略し,容積脈波指標だけから指動脈の弾性を表す指動脈弾力指数(Finger arterial elasticity index : FEI)を推定する手法を完成させ,その特許を出願した. 3.反応性充血時の流量依存性血管拡張反応(%FMD)を上腕動脈超音波エコー画像分析によって評価するのが血管内皮機能検査標準法である.充血時の最大血管拡張率(%FMD)は動脈硬化のマーカーとしての地位が確立している。Kuvinら(2003)は指尖容積脈波を採用して,より簡便かつ客観性に優れるPWA法を提唱した.我々は容積脈波の独自の定量指標,規準化脈波容積を導入してその欠点を克服し,新しい簡易マーカーとしての指動脈流量依存拡張率(Finger arterial flow-mediated dilation ratio ; FFMDR)を独自に開発した.FFMDRと標準法%FMDの相関は十分高い値であった(r=0.67,n=35,健常青年男子).
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