研究概要 |
理論的研究として、Nisbett et al.(2001)の、個人主義文化の西洋では分析的処理が優位で集団主義文化の東洋では全体的処理が優位であるとする主張に、分析的・全体的の2つのシステムを仮定する二重過程理論を導入している。しかし、二重過程理論では・全体的処理のシステムは文化普遍であり、文化差は分析的処理のシステムで生じているとされる。わたしは、この矛盾を解決すべく、分析的処理を可能にする容量がどのように使用されるかで文化差が生ずるとする修正二重過程理論を提唱し、この理論は、Mind and Society誌で発表される予定である。 さらに、この実証的研究として、平成17年度からの続きで、後知恵バイアスについて日韓英仏比較文化研究を行なっている。なお、フランスにおける実験は、日仏共同研究(CHORUSプログラム)からの研究費によって行なわれた。平成18年度は、後知恵バイアスを生起させる「複雑なモデル」にたいして、潜在レベルからのアクセスと、顕在レベルからのアクセスを仮定したモデルを提唱し、'Conditional reasoning and hind sight bias : across-cultural study of British, French, Koreans, and Japanese'というタイトルで、The London Reasoning Workshop : Festschrift for David Over's 60th Birthdayで発表されている。この材料は、条件文を用いて後知恵バイアスを生起させたが、その後・シナリオを用いて後知恵バイアスを生起させる4力国比較を行い、現在論文にまとめている。
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