研究課題
基盤研究(C)
本研究は、近世から近代にかけての日本において、子どもの教育、人間形成という営みがどのように行われていたのか、そしてそれが社会的状況の変化によってどのように変容していったのかを、歴史的に把握することを目的としている。すなわち、子どもの教育や人間形成は、日常生活、家族や共同体の多様な人間関係を通して行われ、そこには生活世界のありようが深く影響してい、たと考えられるが、それが近代的な学校教育の成立と普及によって、階層や地域、性別などによる差異を含みながらも、どのように変容していったのかを明らかにしようした点に、本研究の意義が存在する。そのために、生年が17世紀半ばから1920年代までの人物の自叙伝を史料として用い、それを通して、家族における親子関係と子育て文化、それらと学校教育との関係性の歴史的変容過程を、長いタイムスパンにおいて考察していった。その結果明らかになったことは多岐にわたっているが、その主な点を指摘すれば、次の通りである。(1)江戸時代は、「子宝」思想に基づいて子育てが行われ、そこには豊かな子育て文化が存在していた。(2)明治維新後に生まれ、近代学校を最初に体験した世代にあっては、生活共同体の解体を体験し、独学や漢学塾などへの通学と、近代的な学校教育との両方の経験を並存させるという特徴がみられる。また近代学校への通学を支える、多様で強力な相互扶助の関係が存在していた。(3)19世紀末以降に生まれた高学歴男性にとっては、中等教育機関への進学は人生の転機として認識されていたが、学校選択・職業選択においては動機の弱さが見られ、そこには受験がシステム化された社会の状況を見て取ることができる。(4)女性には男性に見られたような、就学を支えるネットワークがほとんど存在せず、家族がもつ経済資本や文化資本によって女性の進学が規定されていた。
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