研究概要 |
本研究は,現在進行中の教育改革において一つの柱を形成している「開かれた学校づくり」を基底に置き,教師,事務職員,学校栄養職員,学校図書館司書等の「学校スタッフ」について,その「協働」の在り方を現実の教育実践を視野に入れつつ再検討することを最終目標とする一連の研究の第一段階にあたる。本研究においては,特に,開かれた学校づくりを指向する際に当然の前提となる,教職員相互の共通理解の確立を出発点に定めた。そして,その現状を把握するために,大規模都市,中規模都市,小規模都市を,その地域性を考慮しつつ1都市ずつ選択し,質問紙法によって調査を実施した。その結果,主として以下の4点が明らかとなった。 1.教職員の協働の意識は,各教職員が「子どもたちの主体的な学習」「ボランティア教育」といった教育改革のキーワードを認識していることと正の相関関係がある。 2.学校図書館の運営をめぐる教職員の協働意識は,司書教諭との協働に関する意識が,他職種に対するそれと比較して圧倒的に低い。 3.学校給食に関しては,食育の必要性に対する社会認識の高まりを反映し,学校栄養職員との協働を進めるべきであるとする教職員が多いという結果となった。だがその一方で,現実問題としては協働の取組があまりなされていない。 4.子どもの健康問題の対応については,養護教諭との協働について必要性を感じている教職員が多い。しかしながら,現実の協働は,個人的対応にとどまっており,システマティックな協働の域には達していない。
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