研究課題/領域番号 |
16530543
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育社会学
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
藤田 武志 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70324019)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 学力形成 / 階層格差 / 効果のある学校 / 意欲格差 / フィールドワーク / 学力の経年変化 |
研究概要 |
本研究は、日本の中学校において生徒たちの基礎学力がいかに形成されているのかについて、学校内のフィールドワーク、及び質問紙調査によって明らかにすることである。 初年度には、学力調査と質問紙調査の分析から、第一に、文化的に恵まれた家庭環境の生徒とそうではない生徒の間に学力格差が見られること、第二に、格差の状況は学校によって異なっており、第三に、家庭環境の厳しい生徒の学力が底上げされている学校があることを明らかにした。 第二年度には、学力調査と質問紙の分析をさらに進め、フィールドワークの結果とあわせて次の点を明らかにした。第一に、学力だけではなく、授業への取り組み方や学習への意欲の格差にも、家庭状況が関わっていること、第二に、意欲格差に対する家庭状況の規定力は、学校によって異なっており、格差が相対的に小さい学校が存在していること、第三に、基礎学力の形成において、それぞれの学校における実践のありようが重要であり、格差の小さい学校では通常の授業だけではなく、総合的な学習の時間などにも力を入れていることである。 最終年度には、初年度に実施した学力調査(第1回調査)で確認された学力格差の経年変化について検討するため、第1回調査と同一の対象者に対して行った学力調査(第2回調査)と質問紙調査の分析を行った。その結果、第一に、第1回テストよりも第2回テストのほうが学力格差が拡大していること、第二に、社会階層の影響力は第2回テストのほうが強くなっていること、第三に、第1回テストでの位置と第2回テストでの位置は、約6割の生徒が固定的であり、上方に移動した生徒と下方に移動した生徒はそれぞれ約2割程度であること、第四に、学力格差の小さい学校では、解答への意欲が高いことがうかがわれ、第五に、総合的な学習の時間などに対する積極的な取り組みなど、当該中学校のカリキュラム上の特徴の影響がうかがわれることなどが明らかになった。 これらの結果から、日本の中学校の学力形成システムは、家庭環境(社会階層)による影響を免れていないが、それを緩和しているケースがあること、階層格差の緩和は、総合的な学習の時間など、むしろ教科学習だけではない回路を通して、生徒たちの学習への意欲を喚起することによって達成されている可能性があるという特徴を持っていることが明らかになった。
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