研究概要 |
1)小学校英語活動の実施状況の調査結果 全国でも92%の小学校で英語活動を実施しているが,宮城県内においても,地域による取り組み方の違いが予想を越えるものであった。今後,英語活動自体の研究開発と同時に,このような地域差にどのように取り組むべきかが重要な課題であることを指摘した。また,平成8年度から11年度までの研究開発指定校及び仙台市が過去において実施した「地域での外国語教育推進事業」での活動実績と成果を,今後の「英語必修化」の新しい段階で,どのように活用すべきかに関する示唆が得られた。調査の一部として,夏季休業中に現職小学校教員向けのワークショップを開催(定員30名、2日間)し,活動状況についての情報収集に努めた。 2)諸外国での英語教育からの示唆 韓国とマレーシアでの英語教育・外国語教育の研究成果としては,1)今後の小学校英語教育の指導者研修及び小・中連携に関する示唆を韓国の小学校英語教育の研究成果として得た。2)日本の教育全体の観点から,特に小中学校での英語教育をどれだけ重視すべきかの議論に関する示唆をマレーシアの外国語・英語教育政策の研究成果として得た。3)アメリカの小学校での文字指導などの現地調査結果も参考にした。 3)『小学校英語活動』を担う教員の養成に向けて 小学校英語活動は導入が年々増えている一方で,将来の位置づけがまだ確定していないことから教員養成段階での対応が遅れている。宮城教育大学における学生を対象とした取り組みと,そこに参加した学生の声から教員養成プログラムの今後の方向性と可能性に言及した。 4)理論的研究 小学校英語活動で目標とすべきコミュニケーション能力について,コミュニケーションの概念や構成要素また,コミュニケーション能力の定義などを明らかにした上で論じた。特に児童の非言語コミュニケーション能力の発達が顕著であるにもかかわらず,小学校の教員はその点を見逃しがちであることを指摘した。また,小中高等学校での一貫した英語教育を議論する際の「言語能力熟達化」の基礎理論を提唱した。
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