研究概要 |
本研究が3ケ年の研究期間にめざしたものは以下の3点である. 1)英国における新教科「シティズンシップ」の目的や理念がテキストや学習プラン,教材にどのように具体化されているかの理論的分析を行う. 2)授業としての「シティズンシップ」がどのように行われているか,上記のテキストや教材にどのように活用されているかの現状を調査する. 3)上記の結果を批判的に摂取することを通して,モデルカリキュラムの開発を行う. 3年間の研究を通して以下の成果を得た. (1)理論研究を通して ・シティズンシップ教育の基本となる理念は,自由主義/個人主義から共同体主義/市民共和主義へという大きな政治的な流れの中にある. ・シティズンシップ教育の理念は「活動的シティズンシップ」として具体化されているが,「活動」の質は多様であり,そのとらえ方によっては評価も大きく異なるものとなる. (2)実地調査を通して. ・英国の新教科シティズンシップは「適切な教材」「訓練された教師」「評価方法」等,不足不備をかかえながら2002年秋学期より導入されたが,技術的な部分については急速に整備されつつある. ・しかし,本質的な内容や方法をどのように構成するかについては,いまだに議論が続いている. (3)教材分析,教材開発を通して ・実地調査,理論研究に基づいて,公共性,メディア,国際理解,環境の視点から主なテキストや教材を批判的に分析するとともに,グローバルシティズンシップ,環境シティズンシップを育成するための授業モデルを開発した.
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