研究概要 |
本研究では,県内の企業と学校関係者,障害者本人,保護者間の連携により,社会調査,実際の就労場面を用いた評価,改善案の提示,再評価を行い,その結果を養護学校での就労支援を中心とした個別移行支援計画の構築に反映させることで,知的障害者の就労が定着しにくいという問題の具体的な改善を図るために,以下のような形で研究を進めた。 初年度は,1)就労支援に専門的に関わる関係者へのインタビュー,2)県内の養護学校教員,保護者,福祉行政担当者,作業所職員などによる検討会の実施(3年間継続して月1回程度実施),3)就労場面のビデオ分析を行い,県内の障害者就労の状況の把握やコミュニケーションが障害者の職場定着を促す可能性を示唆することができた。 二年目は,1)養護学校卒業後,中度知的障害をもちながら一般就労しているモデルケース1名への長期的な参与観察,2)知的障害者と共に働く職場職員に対するアンケート調査,3)知的障害者雇用企業へのインタビュー調査を行った。わかりやすい指示の仕方や知的障害者の行動特性を職員に伝えることの必要性や,知的障害をもつ職員と他の職員とをつなぐ支援の必要性などが示唆された。また,心地よい職場環境や社長との信頼関係が職場定着の要因の一つとなることや,作業台の配置によって近くで仕事をする職員がすぐに手助けできる体制が作業効率を上げていることが示唆された。 三年目は,養護学校高等部での現場実習において,モデルケース1名について参与観察を行い,支援方法の検討を行った。その際に,二年目に行ったモデルケースと,上記ケースとの比較をすることによって,一般就労と現場実習においての同僚職員との関係構築過程の違いを探った。これらの結果をふまえ,三年間の成果をまとめた報告書を作成した。
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