研究分担者 |
黒川 信重 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114866)
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154189)
服部 俊昭 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30251599)
中山 能力 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70272664)
染川 睦郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70251600)
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研究概要 |
水本はジーゲル保型形式のアイゼンシュタイン級数による持ち上げを扱い,フーリエ係数の合同式が,持ち上げ写像のもとで保たれるかどうかについて調べた.ギャレット・ベッヒェラーによるクリンゲン型アイゼンシュタイン級数の積分表示を用いることで,多くの場合にフーリエ係数の合同式が保たれていることを証明した.またフーリエ係数の合同から,対応する標準L関数の特殊値の合同式が得られることを発見した.研究の過程で同様の合同式の持ち上げが志村対応(重さ半整数の保型形式の対応)や池田写像の場合にも存在していることが分かってきたので,今後その方面へ研究を進めていく予定である. 黒川は多重三魚関数の基本的性質を調べ,とくに特殊値の代数性・超越性や微分代数性の研究を行った.それに関連して,絶対テンソル積(多重ゼータ関数)のオイラー積や特殊値の研究,絶対微分・絶対フロベニウス・絶対ゼータ関数の研究,マーラー測度のq類似・クリスタル化と多重三角関数との関連の研究,量子群のスペクトルゼータやオイラー定数等のq類似の研究,ゼータ正規化積の研究,およびセルバーグゼータ関数とその高次元化等の研究を行った. 志賀は無限次元のタイヒミュラー空間の研究,特に写像類群の研究を行った.無限次元タイヒミュラー空間においては,一般に写像類群の作用はもはや真性不連続にならない.そこで,どのような条件の下にこの作用が真性不連続になるかを研究した.また,擬等角写像によってリーマン面の複素構造を変形した時にリーマン面上の等角不変量がどのように変わるかを研究した. 服部は双曲幾何のディオファントス近似への応用を研究した. 中山は解析的logエタール景を導入し,quasi-unipotentなmonodromyをもつ場合のlogリーマン・ヒルベルト対応を定式化,その関手性とともに証明した.その後,カッターニ・カプラン・シュミットのSL(2)-軌道定理の混合版を,混合版は従来のpureな場合に帰着できることを示した. 染川は代数多様体のp-進L-関数の整数点での特殊値をregulatorと言う幾何的な量で記述するために必要とされる基本理論を構築した.
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