研究概要 |
トーラス埋め込み理論(=トーリック多様体論)は高度に発展し代数多様体論の中では重要な道具の一つになっている.また複素トーラスはコンパクトな複素リー群として特徴付けられるが,アフィン的な代数的トーラスとは密接な関係がある.トーラスファイバー空間は正規複素解析空間の間の固有全射正則写像でその一般ファイバーが複素トーラスとなるものである.これらに関わるものとして以下の対象を研究した.1.トーリック束;2.スムーズ射に近いトーラスファイバー空間;3.非自明な全射自己準同型正則写像を有する代数多様体および複素多様体;4.正規4次曲面および対数的デルペッツォ曲面. 1.トーリック束の構成,その上の因子の記述など行った.トーリック束の更なる退化理論はまだ出来ていない. 2.特異ファイバーの近傍の普遍被覆空間が正の次元のコンパクト部分多様体を全く持たない場合の,ケーラー的トーラスファイバー空間の局所構造を決定した.局所モノドロミーが有限なケーラー的トーラスファイバー空間の大域的な双有理同値類を,ホッジ構造の変動を固定した上である種のコホモロジーの元として記述した. 3.トーリック多様体論や楕円ファイバー空間論を駆使して,非自明な全射自己準同型を有する多様体の分類が,非特異コンパクト解析的曲面と小平次元が非負な3次元射影的代数多様体の場合にできた(藤本圭男氏との共同研究), 4.因子の分離,ゼロ次元部分スキームの消去というアイデアをもとに有理二重点以外の特異点を持つ正規4次曲面の最小特異点解消の分類(石井雄二氏との共同研究),および指数2の対数的デルペッツォ曲面の分類に成功した,
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