配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
逆問題解析を軸に,工学の基礎に現れる偏微分方程式に対して,主として以下の研究成果を得た. 1.非等方弾性体方程式において,非等方性が等方弾性体の弾性テンソルからの摂動によって与えられるとし,摂動には完全な非等方性を仮定したうえで,弾性体の表面を伝わるRayleigh波の速度が,等方弾性体のときと比べてどう変化するかを摂動公式として導いた.21個の非等方弾性テンソルの独立成分の中,どの成分がRayleigh波の速度の一次摂動に影響するかを明確にし,その寄与の仕方をexplicitな公式で表示した.残留応力項を含む場合も,それらのRayleigh波速度の一次摂動への寄与の仕方を明確にした。さらにRayleigh波のpolarization vectorの縦波成分と横波成分の比であるpolarization ratio,およびそれらの成分間の位相変化の一次摂動に対しても同様な考察を行った.以上の結果は,Rayleigh波の観測から弾性体のもつ非等方性,残留応力を決定する逆問題に一つの方向性を示唆すると期待される. 2.導電方程式において,局所化されたDirichlet to Neumann mapから,境界での導電係数および法線方向微分を弱形式で再構成する公式を与え,数値実験で検証を行った.ここでの数値シミュレーションは,境界での導電係数を再構成し次にその値を使って境界法線方向の微分の値を再構成するという従来の帰納的再構成ではなく,Dirichlet to Neumann mapから直接,微分値を再構成する公式に基づくもので,数値的にも高精度で,効率の良い再構成方法であることが検証された. 3.スカラー保存則方程式において,流れ関数を未知とし,解の不連続面であるshockを観測することで流れ関数を同定する逆問題を考察し,流れ関数の一意性の証明,および高階微分係数の再構成を行った.
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