研究概要 |
本研究の対象となる計画は2因子実験の特別なタイプであるsplit-block design, split-plot designであり,Hering and Mejza, S.(1997,2002)等は2つのdesignのクロネッカー積を用いて,split designの構成法を与えたが,この方法によって構成されるsplit designは実験回数が多く,実用的ではない.Mejza, I.教授,Mejza, S.教授との共同研究テーマは,まず,split-block designに着目し,実験回数のより少ない実用的な計画を構成しようというものであり,そのために,2つのdesignのpartialなクロネッカー積を定義して,split-block designを構成し,その統計的性質をI明らかにした.その結果はMejza, I., Kuriki and Mejza, S.(2001)にみられる. 平成16年度には,split-block designに議論を集中し,Mejza, I., Kuriki and Mejza, S.(2001)によって提案された構成法を一般化することができた.また,多重層解析を用いて推定される主効果,交互作用効果の標準対比を一般的な形で与えることができた.層効率因子は一般的な形で求められるが,標準対比は求められないというのが常であるが,標準対比も一般的な形で求めることができたというのは興味ある結果である. 平成17年度には,split-plot designに議論を移し,実験回数の少ない実用的なsplit-plot designを構成し,その統計的性質を明らかにした.この結果は平成16年度の標準対比が一般的に表されたことによるものである. 今後の研究テーマとして,いくつかの水準を対照処理(たとえば,実際に評価されている小麦の品種),他の水準をテスト処理(たとえば,新しく開発された小麦の品種)とし,対照処理,テスト処理の主効果,交互作用効果の標準対比を推定できるようなsplit designを研究対象と考えているが,この場合にも,本研究におけるsplit designに対する結果が十分適用されるだろうと予想している.
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