研究課題
基盤研究(C)
変形W代数は楕円函数を構造函数として定義される量子群の一種である。本研究は、変形W代数の表現論を応用して、バクスターの8頂点模型の相関関数を記述することを主な目標として計画された。以下に、本研究の成果の概要を示す。(1)バクスターの楕円R行列により交換関係が定められた頂点作用素が、W代数の表現空間上に作用する演算子として具体的に表現された。その際、交差定数と呼ばれるパラメータはある有理数として定められ、それがW代数に対応するリー環の型を決定する。(2)頂点作用素の積の行列要素は、マクドナルドの差分作用素と可換なある種の積分作用素を用いて、非自励的な差分化された時間発展方程式の初期値問題の解として特徴付けることができることを様々な実験により発見した。(3)上記(2)の予想を証明するために、マクドナルド差分作用素の多変数形式級数の空間の上への作用、そのスペクトル、固有函数の明示的表示などの基礎的な諸問題への着手、及び座標変数とスペクトル変数の間の双対性と級数の明示的公式の間を結ぶ諸変換・和公式の(ある程度の)理解等に向けて研究を進めた。さらに、一般のルート系に付随するマクドナルド多項式や、コーンウィンダー多項式、ないし、それらの楕円アナログを同様な枠内で理解するための試みを開始し、ある程度の結果を得た。(4)変形W代数や、マクドナルドの差分作用素が定める量子可積分系のより深く理解することが(少なくともルイセナール系等の楕円型量子差分系の)バクスターの8頂点模型のスピン相関関数の理解のためには不可欠であることを認識した。そのための基礎として、ある種の古典可積分系への退化、タウ函数、広田・三輪型の双線形恒等式、その特殊解などについて研究を行った。その特殊解がマクドナルド多項式の半古典近似と関係を持つ(であろう)ことを確認した。
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