研究概要 |
1.NASA/ESAの科学衛星SOHO搭載のMDI(Michelson Doppler Imager)による、ドップラー速度場のデータに基づいて、音波モードのパワーの相関を調べた。具体的には、速度場データを球面調和展開係数の時系列として取得して、モードのパワーの時間変化を、ランニングウィンドウ中のパワーを用いて計算し、次いでモード間の相関係数を求めてその分布関数を計算した。(1)太陽全面が観測できないことから生ずるモード間のパワーの洩れの効果は小さいこと、(2)Roth(2001,ApJ,559,1165)の報告したような相関係数分布の非対称を確かに見出す一方で、負相関過剰はRothの結果に較べて少ないこと、(3)相関係数の分布はモード・ペアの振動数差によらず、負相関過剰が太陽内部の流れを媒介とした、振動数の近いモード間の相互作用の結果であるというRothの解釈は否定できることを見出した。また、(4)時系列のランダムシャッフリングを行なった解析でも相関係数分布が余り変わらないことから、この負相関過剰がモードの減衰時間に比べて長い時間スケールでは定常的な過程の帰結である、という結論を得ている。 2.ランダムな励起項と減衰項を持つ調和振動子モデルを使った解析を行ない、データとの比較検討を行なった。あるパラメータ領域で、相関係数の非対称分布と負相関過剰とはある程度再現できている。より単純なモデルとも比較を行ないながら、解析を続けている。 以上の研究遂行にあたり、韓国・慶北大学の張憲永博士の多大な協力を得た。現在、これまでの結果をと張博士と共同で出版準備中である。
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