研究課題/領域番号 |
16540243
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大野木 哲也 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (70211802)
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研究分担者 |
寺崎 邦彦 京都大学, 基礎物理学研究所, 協力研究員 (00034611)
橋本 省二 京都大学, 高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所, 助教授 (90280510)
松古 栄夫 京都大学, 高エネルギー加速器研究機構・計算科学センター, 助手 (10373185)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 非等方格子 / HQET / B中間子 / 小林益川行列 / 重いクォーク / 格子QCD / ハドロンスペクトル / カイラル極限 / 非摂動繰り込み |
研究概要 |
格子QCDによるB中間子遷移行列の精密計算は標準模型や新しい物理の検証に重要であるがbクォークの質量が大きいことによる格子化誤差が障害となっている。それを回避するための方法として、非等方格子を用いたbクォークの定式化と格子HQETの2つが有望な定式化と考えられている。本研究では、非等方格子と格子HQETの研究、およびそれに関連するた物理の研究を行った。 大野木、松古らは非等方格子上のWilsonフェルミオン型のクォーク作用のO(a)改良の研究を行った。O(a)改良に必要なパラメータがリーディング項が1つ(γ)、次のオーダーが2つ(CB、CE)存在する。これらのパラメータの非摂動的マッチング手法の探索的研究を行った。パラメータのうち2つ(γ、CE)を有限体積格子でのハドロン伝播関数に対する時間・空間の伝播等方性、PCAC関係式から決定できることを示した。非等方格子が重いクォークで正しく物理を記述するにはHQETの予言との比較が重要であるためHQETの1/M補正項のマッチングの新たな手法を提唱しその有用性をしらべた。この結果をもとにHQET作用との比較から非等方作用の有用性の検証に利用できると期待される。 関連する物理の研究として大野木はペンタクォークの研究を行い比較的クォーク質量が重い場合はKN thresholdの上にペンタクォーク的な状態がある可能性を指摘した。また格子QCDによるB中間子セミレプトニック崩壊の形状因子から分散式を用いて、小林益川行列要素|Vub|を決定する新しい方法を提唱した。 大野木と松古は格子HQETもちいてクェンチ近似でstatic極限でのB中間子のπ結合を決定した。格子HQETの最大の困難は統計誤差が大きいことであるが、all-to-allプロパーゲーター法を用いて相関関数の時間空間平均を効率的にとることによりわずか32個のゲージ配位の平均をもとに3%の精度でのB*Bπ結合を得た。これは、今後のfull QCDへの拡張やその他の遷移行列への応用にも使える有益な結果である。その他に我々の研究を含めて、格子上の重いクォークのさまざまな定式化と物理への応用についての研究をまとめた総括論文を執筆した。寺崎は、B factory実験で発見されたDsO粒子に対し、自身が独自に提唱する4体クォークの束縛状態としての解釈に基づき生成機構についての考察を行った。また、寺崎はMcKeller氏との共同研究でBabar, Belleで見つかったCharmed scalar励起状態の4体クォークによる解釈を行い、今後の格子計算において重要な予言として、isospinが1である可能性を提唱し、さらにその解釈に基づく生成機構についての考察を行った。
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