研究課題/領域番号 |
16540274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
大森 恒彦 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (80185389)
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研究分担者 |
栗原 良将 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50195559)
横谷 馨 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (40141973)
汲田 哲郎 首都大学東京, 都市教養学部, 助手 (30271159)
広瀬 立成 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授 (70087162)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 非線形QED / non linear QED / コンプトン散乱 / トムソン散乱 / Compton scattering / Thomson scattering / レーザー・電子衝突 / laser-electron collision |
研究概要 |
本研究では非線形コンプトン(トムソン)散乱により生成されたX線の角度分布を測定する事に成功した。 非線形コンプトン散乱を観測した実験はこれまでは米国スタンフォード線形加速器センターで行われたE144実験(Bula et al.,Phys.Rev.Lett.76,3116(1996))のみであった。この実験では反跳電子のエネルギー分布だけが測定され、線形過程のみから期待されるよりも低いエネルギーの電子を観測し、それが非線形QED理論の予言と矛盾しないことが示された。 しかしエネルギー測定だけでは非線形性の検証として不十分である。非線形散乱は線形散乱にない極めて特徴的な角度分布をする事が理論的に予言されており、その実験的検証がなされることが非線形散乱の確立に不可欠であった。非線形散乱の角度分布の測定は本研究が世界初である。実験は米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)にある60MeVの電子加速器からの電子ビームと、同研究所の超高出力CO2レーザーからのレーザー光を衝突させる事により、コンプトン(トムソン)散乱を起こし、それにより発生したX線の非線形成分を測定した。非線形散乱では線形散乱の運動学的限界を超えた高いエネルギーのX線が発生する。この特徴を生かし、測定は銀の薄板をX線のフィルターとして用いる事により、高いエネルギーのX線のみを測定器に導く事により行われた。測定器はCCDを用い角分布を水平、垂直の双方向で2次元測定した。これにより非線形散乱に特有の鉄アレイ型の空間分布(角分布)を測定する事に成功した。この実験結果は3つの論文にまとめPhysical Review Letters誌、Laser Physics誌、およびにInternational Journal of Modern Physics誌に発表した。 これと平行して、非線形散乱のさらに精密な検証の為の装置の開発を行った。この装置は湾曲した多層膜反射板とX線イメージインテンシファイアを組み合わせて、散乱X線の角度とエネルギーを同時に2次元測定するものである。この装置の開発は成功し、その成果はNuclear Instruments and Methods in Physics Research誌に投稿中である。
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