研究課題/領域番号 |
16540279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
日野 健一 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (90228742)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 半導体超格子 / Wannier-Stark階段 / Zener効果 / Floquet状態 / 半導体Bloch方程式 / 非線形光学応答 / 多体効果 / 励起子 / 動的Zener効果 / 2次Zeeman効果 / Wannier-Stark ladder / Fano共鳴 / Zenerトンネリング / 動的Wannier-Stark ladder / 光介在トンネリング |
研究概要 |
本研究課題は、積層方向へ静電場が印加された半導体超格子(Wannier-Stark ladder, WSL)における非線形光学効果と多体効果に関する理論的研究である。とりわけ、低次元半導体ゆえに生成する励起子Fano共鳴(FR)状態に対するそれらの効果に着目する。以下に、主要な研究成果を列記する。 (1)強静電場下におけるWSL-FR状態のZener効果 このような系での励起子光吸収スペクトルを、多チャンネル散乱理論の基づき数値計算した。電子および正孔サブバンドのエネルギーはZener共鳴に起因して、特定の電場近傍で大きな反交差を引き起こし波動関数の非局在化が起こる。これに伴って、励起子スペクトルも電場の強さに対して激しく変調することが分かった。具体的には、吸収端の赤方遷移とFR形状の不規則な変動が見出された。 (2)縮退四光波混合(DFWM)におけるFR着衣状態の非対称二重項分裂 多体効果を考慮した半導体Bloch方程式を数値計算することによって、強パルスレーザー(ポンプ光)と弱パルスレーザー(プローブ光)をWSLに照射した際形成されるDWSL信号を求め解析した。励起子が束縛状態にあるときは、周波数分解DFWMスペクトルは励起子エネルギーを中心として対称的な二重項に分裂する(Autler-Townes分裂)。しかし、励起子がFR状態にあると、DWSMによる分極コヒーレンスとFR波動関数の電子的位相が干渉し、その周波数分解DFWMスペクトルはFano-q値の程度に応じて非対称に分裂することが分かった。また、このスペクトルの形状や位置は、ポンプ光の強度のみならず多体効果に大きく依存することも分かった。 (3)動的WSL (DWSL)におけるac-Zener効果 THz領域の周期レーザーをWSLに結合した系をDWSLという。単色レーザーにより、DWSLのFloquet状態がコヒーレントに制御できることは良く知られている。ここでは、単色レーザーも含めた周期的パルスレーザーに誘起されたDWSLのac-Zener効果について、擬エネルギーや吸収スペクトルを計算することにより解析した。パルス波形が矩形または鋸型の場合、DWSLのac-Zener効果はレーザーによりコヒーレントに消去できる新奇な量子制御を見出した。また、その他のパルス形状では、レーザー強度が大きくなるにつれて、特異な光吸収(負の吸収)が引き起こされることが分かった。
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