研究課題/領域番号 |
16540307
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉澤 英樹 東京大学, 物性研究所, 教授 (00174912)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 強相関電子系 / ストライプ秩序 / スピン状態転移 / 電荷秩序 / スピン状態 / フォノン異常 |
研究概要 |
本研究では、高温超伝導銅酸化物、および同型の結晶構造を持つNi酸化物において観測されている特異なストライプ秩序の発現機構を解明することを目指した。遷移金属酸化物におけるストライプ秩序の普遍性を検討するため、214型2次元結晶構造を有するMn酸化物やCo酸化物における電荷・スピン秩序の様相を研究することとし、FZ法により中性子回折実験に適した高品質の大型単結晶試料を多数育成し、中性子回折測定を行った。なかでも、2次元Co酸化物Pr_<2-x>Ca_xCoO_4においては、x=0.39〜0.73の濃度範囲の試料の作成に成功したので、詳しく電荷・スピン秩序を研究した。その結果、x<1/2の領域では市松模様型の電荷秩序が形成されており、その短距離秩序化に伴って電気抵抗の金属的振舞いへのクロスオーバーがみられることが明らかになった。また、x>1/2の領域では市松模様電荷秩序がNi酸化物型のストライプ秩序へと変化していることを発見した。なお、その濃度近傍ではCoイオンが中間スピン状態から低スピン状態へとスピン状態転移を示し、Co^<3+>イオンは非磁性状態である。従ってCo酸化物の示すストライプ秩序は電子・スピンが存在するCo^<2+>イオンサイトで生じており、まさに電子ストライプと呼ぶべき状態である。これはNi酸化物やCu酸化物におけるホールに起因するホールストライプとは全く対照的な電子による電荷・スピン秩序であり、ストライプ秩序にも「ホール-電荷」対称性が存在することが明らかになった。 一方、金属間化合物としては異常に高い超伝導転移温度を持つMgB_2と同型の結晶構造を有し単結晶試料が作成可能なCaAlSiのクーパー対形成に関与していると予想されるB_<1g>フォノンモードを研究した。バンド計算等の研究により、CaAlSiのB_<1g>フォノンが異常である可能性が指摘されていたが、我々の研究により、(1)B_<1g>モードが確かに5meVと異常に低エネルギーであること、(2)温度によりフォノンエネルギーのソフト化を示すKohn異常があること、(3)Kohn異常は3次元的なフェルミ面のネスティングに起因していることを実証した。
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