研究課題/領域番号 |
16540313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 東京大学 (2006) 京都大学 (2004-2005) |
研究代表者 |
常次 宏一 東京大学, 物性研究所, 教授 (80197748)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 強相関電子系 / フラストレーション / スピン液体 / カゴメ格子 / パイロクロア格子 / 金属絶縁体転移 / スピン軌道モデル / マグノン結晶 / 量子スピン / 三角格子 / 軌道秩序 / 磁気秩序 |
研究概要 |
バナジウムスピネル酸化物AV_2O_4(A=Zn,Mg,Cd)における構造転移と磁気転移の機構を研究した。磁性をもっバナジウムイオンはパイロクロア副格子を形成しており、その格子上のスピン系は絶対零度まで長距離磁気秩序を示さないと考えられている。我々は、バナジウムイオンのd電子のスピンに加えて軌道自由度を考慮して低エネルギー有効模型を構築し、その平均場解析およびモンテカルロシミュレーションにより相図を決定した。その結果、構造転移が軌道秩序に対応し、それが引き起こす磁気相互作用の異方性により低温で磁気秩序の発現が可能になることを明らかにした。 カゴメ格子上の遍歴電子系の電子状態と磁性を調べた。単一バンドハバード模型で電子密度がhalf fillingの場合を考察し、動的平均場近似によって電子グリーン関数および動的磁気相関関数を計算した。その結果、電子が局在して絶縁体になるモット転移はフラストレーションの無い場合に比べて遙かに大きな電子間斥力が必要で、金属相が安定であることを示した。さらに、転移点近傍の絶縁体領域においては1次元的なスピン揺らぎが発達することを発見し、電荷揺らぎに伴う多スピン過程がこの特異なスピン相関を強めている可能性を指摘した。 飽和磁場近傍のフラストレートした量子スピン系に関しても研究を行った。これらの格子に特徴的な有限領域に局在したマグノンを双対格子上の格子ガスとして取り扱う模型を提唱し、厳密解の構成およびモンテカルロシミュレーションを行い、低温かつ飽和磁場近傍のほぼ厳密な相図および臨界指数の決定を行った。磁場の低下に伴うマグノン結晶状態への相転移の存在を示し、異なる格子における普遍クラスの違いを示すと共に、いくつかの格子における結晶状態の1次元的なスライディングの特徴を明らかにした。
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