研究課題/領域番号 |
16540341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
数理物理・物性基礎
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川村 光 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30153018)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | フラストレーション / スピングラス / カイラリティ / パイロクロア / スピン-カイラリティ分離 / カイラルグラス / スピン-カイライリティ分離 / モンテカルロシミュレーション / レプリカ対称性の破れ |
研究概要 |
フラストレート系の磁気秩序化とスローダイナミックスを、特にスピングラス磁性体を主たる対象として、数値的・理論的に解析した。その際、最近注目されている物理量である「カイラリティ」に着目し、カイラリティが秩序化に当たって示すと予想されている特異な振る舞い-スピン・カイラリティ分離-の確認や、カイラリティのスローダイナミックスが引き起こす非平衡現象、とりわけ揺動散逸定理の破れについて詳細な研究を展開した。合わせて幾何学的フラストレート磁性であるパイロクロア磁性体の磁気秩序化現象についても同様の観点からの研究を行った。スピングラスについては、実験的なスピングラス系の標準的な理論モデルである3次元ハイゼンベルグ・エドワーズ-アンダーソン模型に関する大規模数値シミュレーションを行い、このモデルが研究代表者が以前よりその存在を予想している有限温度でのカイラルグラス転移を示し、長距離・長時間におけるスピン・カイラリティ分離を示すことを数値的に明らかにした。同時に、カイラルグラス秩序相では1ステップ的な特異なレプリカ対称性の破れが起きていることも、明らかにした。また磁場中では、このレプリカ対称性の破れと密接に関連した熱平衡相転移が起きていることを示し、実験的スピングラス系に関する長年の疑問に対する1つの明快な解答を与えた。この1ステップ的なレプリカ対称性の破れが、ハイゼンベルグスピングラス系の揺動散逸定理の破れを通して観測されることを、非平衡シミュレーションにより明らかにした。
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