研究概要 |
渦線の曲率効果に起因するKelvinの渦輪の新しい3次元不安定メカニズム「曲率不安定性」を発見した.固有関数を陽に書き下すことに成功し,増幅率の高波数領域での漸近形を求めた.ハミルトン力学系のKreinの理論の観点から,スペクトル構造を数学的に明らかにした. XeClエキシマレーザー・パルスのCoコート基板上への照射を繰り返すことによって,不安定化した渦輪の生成に成功した.凍結パターンの電子顕微鏡画像の解析から,4種類の不安定モードを同定した. Kelvinの渦輪の弱非線形安定性解析を行った.導出した振幅方程式の数値解析によって,系が一般にカオス状態に陥ることを見出した.並行して直接数値計算を行って,Widnall不安定性の詳細な挙動を明らかにした. ひずみ流中の楕円渦上の屈曲Kelvin波攪乱(方位波数m=1,-1)の振幅の弱非線形発展方程式について,SO(2)xO(2)対称性にかかわるHamilton的ノーマルフォームによってその可能な形を絞り,非回転モードについて,係数の値を具体的に計算した.非線形効果で成長は飽和する.しかし,m=3,4のKelvin波と3波共鳴を起こして屈曲モードが2次不安定を起こすことを,振幅方程式の解析によって示した. Dysonの方法を3次元に拡張することによって,渦核の有限太さの効果を系統的に取り込むことができるBiot-Savart積分の漸近展開法を開発した.これをらせん渦管まわりの流速場の計算に適用した.渦核近傍では,核内の構造の反映である双極子場の寄与を無視できない. 電磁流体中の磁気渦の運動について,コントゥア・ダイナミクスによる定式化を行った.厳密解の族を発見し,これがエネルギーバランスにおいて重要な役割を担っていることを,渦界面の数値計算と直接数値シミュレーションにより明らかにした.
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