研究課題
基盤研究(C)
重水素、三重水素混合物中に打ち込まれたミュオンは、ミュオン分子を形成し、分子内核融合反応を起こす。この一連の反応をミュオン触媒核融合反応(μCF)とよび、ミュオン1個当り150回の核融合反応を触媒する事が知られている。μCFで、最大のミュオンの損失は、核融合生成物のα粒子の原子軌道へのミュオンの捕獲である。ミュオンはα粒子の原子軌道で自然崩壊する。ここまでの過程は多くの研究により詳しく調べられてきたが、捕獲されたミュオンがミュオン原子衝突によって水素同位体の原子軌道に移行し再び核融合を触媒する過程は量子力学に基づく厳密な取扱は行われていなかった。本研究では、シュレディンガー方程式を直接計算する事により、ミュオン移行反応αμ+d→α+dμの移行及び散乱断面積を計算した。この断面積は、ミュオン活性化の確率を評価することができる。この数値計算を行うため、これまで我々が開発した「時間依存チャネル結合法」と「組替えチャネル結合法」をベースにして、「時間依存組替えチャネル結合法」の開発を行った。開発に当たって、ミュオンや陽電子のエキゾチック原子分子系での衝突問題に適応し、計算コードの調整とこの方法の有効性を検討した。広いエネルギー範囲で、ミュオン移行反応(αμ+d→α+dμおよびαμ+t→α+tμを計算した。断面積の傾向はどちらも似通っているが、同位体依存性がみられた。液体水素密度換算で、10^7s^<-1>の移行反応率が得られ、この値は他の過程の値とほぼ同等であり、μCFではミュオン移行反応が重要な役割を果たす事が確かめられた。
すべて 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (21件)
日本物理学会誌 61
ページ: 27-35
110002973228
Buturi 61
原子核研究 49
ページ: 177-184
ページ: 197-201
Gensikaku-kenkyu 49
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 214
ページ: 40-43
ページ: 84-88
Materials Science Forum 445/446
ページ: 446-448
ページ: 449-451
Physical Review A 70
ページ: 62701-62701
A New Era of Nuclear Structure Physics, Proceeding of the International Symposium (World Scientific, Singapore)
ページ: 48-52
A New Era of Nuclear Structure Physics, Proceeding of the International Symposium(World Scientific, Singapore)