研究概要 |
北上山地南部のペルム系下部の坂本沢層には従来から,含鉄層や古土壌起源の堆積岩が知られていたが詳細な研究は行われていなかった.本研究で坂本沢層石灰岩層Sd層最下部の含鉄層は,炭酸塩岩からの古土壌ならびに深成岩体などの風化により逸脱した鉄鉱物の再堆積と判明した.またフズリナ化石「松葉石」は初生的な埋没後削剥され,特殊な水域で続成作用を受け,Limpidドロマイトが殻の一部を充填後,脱ドロマイト化作用を受け再堆積した.これは炭酸塩岩の広域なカルスト化を間接的に示す. 足尾山地葛生地区のペルム系を大きく不整合に覆う特異な堆積物ばさまざまな岩相を呈する.その石灰角礫岩,葉理を示す泥岩や細粒炭酸塩岩砕屑岩に見られる堆積構造や構成鉱物,特に風成起源の黒雲母の存在などから見て,海底下でのneputunian dike成因説は同意出来ない.カルスト化された炭酸塩岩の凹地や洞穴などに古土壌起源の細粒砕屑物が再堆積したもので縞状の葉理は乾期雨期を示す. 飛騨外縁帯の一の谷層には研究代表者によってパレオカルスト化と,古土壌起源の堆積岩が知られている.本研究では含鉄赤色頁岩やチャート角礫残留礫岩などの再検討を進め,下部石炭系上部からデボン紀に至るパレオカルスト化が確認された.高山市丹生川村の含Robustoschwagerina石灰岩に見られる充填化,特にvadose域での続成化から石灰岩の陸化,古カルスト化などの過程が読み取礼フズリナ化石のbiostratinomyの総括的な研究の必要性が喚起された. 美濃帯の赤坂石灰岩は古くから研究されているにもかかわらず研究から取り残された赤鉄鉱鉱床が知られているが古力ルスト化による凹地に古土壌起源の含鉄層が形成されたと判明した. 上記のように直接・間接的に代表的な後期古生界で確認されたパレオカルスト化作用は古気候海水準変動を含む環境変遷の地史的な貴重な資料を提供した.関連してフズリナ化石などのbiostratinomyの観点からわが国の上部古生界炭酸塩岩の更なる研究の必要性を喚起した.
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