研究概要 |
平成16〜18年度の研究実績は以下のとおりである. 1.熱変成作用の研究:各種コンドライト中の金属鉱物及びスピネル族鉱物の特徴を詳細に記載,分析し,従来珪酸塩鉱物から得られている知見を参照しながらコンドライトの熱履歴を明らかにした。これらの鉱物はコンドライトの熱変成度の最も有効な指標となることを提唱した。特に金属鉄については組織と組成が熱変成度に極めて敏感であること、またそれらの変化傾向を定量的に見積もる方法を提唱した。最近提唱された変成度の新分類基準とも一致することも明らかになった。スピネル族鉱物については変成度と組成の関係を定量的に明らかにした他、コンドルールが溶融する以前の情報を持っている可能性を始めて示唆した。 2.衝撃変成作用の研究:CBグループに属するGujba隕石を詳細に研究し,炭素質コンドライトから初めて,衝撃変成作用を反映する高圧鉱物を発見した。その特徴及び普通コンドライトとの比較により,同隕石の隕石母天体に加わった衝撃圧力,衝突過程の物理条件を明らかにした。また、シリカ鉱物も新たに発見したが、これは原始太陽系星雲内での凝縮分別作用の結果であると考えられる。このようにこの種の炭素質コンドライトは前駆物質形成から母天体に至るまでの間に従来考えられていた以上にダイナミックな作用を受けていることが明らかになった。 以上,得られた成果は国際隕石学会、国際鉱物学会および国立極地研究所の隕石シンポジウムで発表した。また研究発表欄にあるような論文としてまとめた。
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