研究概要 |
I.電子ビーム・プラズマ系におけるプラズマ構造形成の数値解析を更に進めて次の事が明らかにされた。 (1)非線形静電波による磁場を横切るプラズマ電子加速と加熱を表す輸送方程式及び乱流プラズマ波動による異常拡散を組み入れた電磁流体方程式の数値解析を3次元のモデリングを用いて行なった。即ち、プラズマ電子ドリフト速度、電界、電子温度、電子密度の3次元プロフィルの時間変化の解析により異常拡散の効果が詳細に明らかにされた。 (2)一般化されたオームの法則に基づきドリフト速度とプラズマ電子の圧力勾配で発生電界が決定される。静電波のランダウ減衰によってプラズマ電子がx軸方向に加速され、このドリフトのダイナモ効果によりy軸方向の電界が発生する。この電界がつくるx及びz軸方向の電界はポアッソン方程式により与えられる。更に、x軸方向電界はE×Bドリフトによってy軸方向のプラズマ電子ドリフトを生じさせる。これらのドリフトが電子ビーム・プラズマ系の中心部に電子ホール状の加熱領域(ラーマー半径程度)が生ずる事を16年度において既に明らかにした(J.Plasma Fusion Res. SERIES, Vol.6, 253-255(2004))。 (3)中心部からのプラズマ電子の輸送によりプラズマ崩壊に至るが、空間的に成長した静電波動の乱流プラズマ波動拡散によりプラズマ電子は中心部に向かって拡散し、プラズマ電子加速と競合する。2つの機構を組入れたた数値解析により、中心部の電子密度減少は飽和し、更に電子ホール状の加熱領域が消滅する事が明らかにされた。結果は実験結果と定性的定量的に一致する。 (4)この数値解析の方法を用いて核融合プラズマ中の輸送障壁形成の機構の解析が可能である事が分かり、その数値解析遂行の準備も完成した。 II.磁化プラズマ中の異常波のコンプトン散乱により磁場方向の高エネルギー電子ビーム加速(【less than or similar】1GeV)が起こる事を明らかにした(J.Plasma Phys. Vol.3, Part3, pp.331-357(2004))。 III.低域混成波のコンプトン散乱により磁場方向の相対論的電子ビーム加速(≦5TeV)が起こる事を明らかにした(Phys.Plasmas Vol.12, No.11, pp.5634-5642(2004), 2004 ICPP, Nice, P2-047(2004))。
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