研究概要 |
プロトン移動によって結晶中で中心性キラリティを持つようになる分子としてタルトロン酸とフェニルマロン酸を,また,単結合回りの回転束縛のために結晶中で軸性キラリティを持つようになる分子として,クロロニト白安息香酸を取り上げ,結晶化の際にキラリティを持つようになる分子(誘起キラル分子)とアミン類,ピリジン類およびアミノ酸分子を組み合わせ,それらの塩または分子間化合物を合成し,X線回折実験によってその結晶構造を明らかにした。さらに,結晶中の水素結合様式および水素結合中のプロトン移動について検討するためにモデル物質としてクロラニル酸を取り上げ,アミン類,ピリジン類,アミノ酸との塩または分子間化合物を合成し,その結晶構造と水素結合様式をx線回折によって調べた。 研究成果の一部であるタルトロン酸と2-ピリドン,3-ヒドロキシピリジンおよび4-ヒドロキシピリジンの結晶構造,フェニルマロン酸とベンゾイミダゾールの結晶構造,クロロニトロ安息香酸とルチジン,シアノピリジンの結晶構造,クロラニル酸とピロリジン,テトラヒドロキノリン,ピコリン,トリメチルピリジン,メチルピラゾール,カルボキシピリジン,ピペリジン,シチジン,および,フェナジンのエックス線結晶構造解析の結果は既に国際結晶学会誌で発表した。また,タルトロン酸とクロロベンジルアミン,フェニルエチルアミン,プロモフェニルエチルアミン類の結晶構造,アルコキシ安息香酸とピリジン類の結晶構造については,学会等で口頭発表を行い,現在論文として投稿準備中である。
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