研究概要 |
1,4ジシラデュワーベンゼンの新規効率的合成法としてJungらの方法でテトラクロロ-1,4-ジシラシクロヘキサジエンを合成し、次にシリル基をケイ素上に導入後、得られた1,4-ジクロロシクロヘキサジエンの還元的カップリング反応により高収率で合成できることを見い出した。1,4-ジシラデュワーベンゼンの光反応でベンズバレンに光異性化することが明らかにされた。 光異性化の中間体として低温マトリックス中で1,4-ジシラベンゼン中間体を確認した。1,4-ジシラデュワーベンゼンの還元反応によりジアニオン種を安定に単離し、臭化エチレンによる酸化反応で1,4-ジシラベンゼンの発生を試みたが、巣不成功に終わった。 また1,4-ジシラベンゼンを金属錯体として単離するために、金属カルボニルと光反応を検討したところ、ジシラデュワーベンゼンのSi-Si結合にCOが挿入したジシリルケトンが生成した。このジシリルケトンは金属カルボニルなしでCOガス下、光反応でも生成した。金属錯体をえるためにケイ素上が小さい置換基のメチル基やp-トリル基の合成を検討したが今回の合成法ではうまくゆかなかった。 1,4-ジシラデュワーおよびその原子価異性間の異性化化反応について理論計算を行った。その結果いくつかに遷移状態の構造を見出し、含ケイ素ベンゼン原子価の特有な反応過程を明らかにした。
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