研究課題/領域番号 |
16550030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 滋 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (40192447)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 光誘起電子移動反応 / 脂質二分子膜 / ピレン誘導体 / 光エネルギー変換 / ベシクル / ペリレン誘導体 |
研究概要 |
卵黄レシチン(EPC)が形成するベシクルを反応場に用いて、疎水場に増感剤となるピレン誘導体を取り込ませ、内水相にアスコルビン酸ナトリウム(AscNa)、外水相にメチルビオロゲン(MV^<2+>)を配した系をつくり、光照射することによって、AscNaからMV^<2+>へのエネルギー蓄積型の電子輸送反応を起こすことができる。この系は、生物が営む光合成の最も単純なモデル反応系としての意義をもつ。本研究は、この光誘起電子移動反応の機構解明と高効率化を目的としたものであり、当該研究期間において、以下のような成果を得ることができた。 1.EPCを用いた電子輸送反応について、増感剤の蛍光消光実験などの反応機構的な解析に基づいて、内水相側に存在する増感剤の光励起によって開始される電子移動反応機構を推定した。また、長鎖アルキル基と親水基を併せもつピレン誘導体が、高効率的な電子輸送反応の増感剤として有効であることを示した。 2.脂質二分子膜を反応場とする光誘起電子輸送反応の高効率化と高機能化のために、電子輸送反応の効率と機能性を支配する因子として、反応場、増感剤、酸化末端、還元末端の4つを考え、それぞれについて最適化などの検討を行った。 (1)反応場としてDPPCなど様々な脂質を用いて、輸送効率に及ぼす脂質分子の構造の影響を調べた。また、コレステロールの添加効果を検討し、膜の流動性の影響を調べた。 (2)高い輸送効率が期待される増感剤として架橋連結型ピレン二量体を設計・合成し、その増感剤としての機能を評価した。 (3)内水相に配置する最適な電子供与体の探索を行った。また、MV^<2+>を電子伝達剤として電子輸送系と触媒系を連結することにより、光水素発生系の構築を試みた。 これらの成果は、この光誘起電子移動反応系を高効率的な光-化学エネルギー変換系へと進化させるために、基礎的な知見を与えるものである。
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