研究課題
基盤研究(C)
[3.3]パラシクロファンにTTF型ドナーを直交させたπ-電子系を組み込んだ三次元的ドナー分子であるドナー・ドナー直交型シクロファン(DT-TTF直交型シクロファン)として、(1)直交したπ-電子系問での電子移動、(2)分子内電荷分離、(3)電子移動の方向性制御等が期待できる直交型シクロファン1及び基本ユニットである1,3-dithiol-2-ylideneを組み込んだDT直交型シクロファン2を合成し、1は2よりも0.1V以上第一酸化還元電位が小さく、第一・第二酸化還元電位の差(ΔE)も0.1V以上小さくなっており、1ではドナー性の向上、クーロン反発の減少とDT-TTF間の相互作用が存在することが示された。今回、AviramとRatnerによって提唱された分子整流器としてのモデル化合物であるTTF-TCNQ系とは違ったタイプの分子整流器モデル分子として、電位勾配が期待できるドナーとアクセプターを三次元的なπ-電子系に組み込んだドナー・アクセプター直交型シクロファンを設計した。ドナー・アクセプター直交型シクロファンとして、電位勾配が期待できるドナーとアクセプターをそれぞれ組み込んだドナー(1,3-dithiol-2-ylidene : DT)・アクセプター(dicyanoethylidene : CN)DT-CN直交型シクロファン3の合成に成功した。合成したドナー・アクセプター直交型シクロファン(3)の光物性、電気化学的特性を明らかにするために、電子スペクトルおよびCV測定を行った。電子スペクトルの結果より、ドナー・アクセプター直交型シクロファン(3)では、ドナー・ドナー直交型シクロファン(1,2)に比べて、分子内電荷移動バンド(ICT)が20nm長波長シフトしていることから、ドナーユニットからベンゼン環へ、さらにベンゼン環からアクセプターユニットへの遠隔分子内電荷移動相互作用の存在が示唆された。またCV測定の結果より、ドナー・アクセプター直交型シクロファン3では、三段階酸化過程と一段階還元過程が観測された。また還元過程はジシアノエチレン部位によるものであった。第一酸化電位と第一還元電位の差から、HOMO-LUMOギャップ3のHOMO-LUMOギャップは1.17eVと見積もられ、3はTTF-BQ(ベンゾキノン)系と同程度であることがわかった。
すべて 2006 2005
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