研究概要 |
「ビルディングブロックスを用いたβ,β-縮合ポルフィリンオリゴマーの構築」に関して、次の成果を得た。 1.2,3-ジメチルポルフィリンを'3+1'型縮合反応により得た。 2.2,3-ジメチルポルフィリンのUVスペクトル結果から、極大吸収波長は394nmであり、モル吸光係数は266,000[1・mol^<-1>・cm^<-1>]であった。 3.^1H-NMR(CDCl_3)スペクトルではNHが-4.2ppmに、CH_3が3.56、6-H,16-Hが9.41、7-H,15-Hが9.43、10-H,11-Hが9.50、meso-位である5-H,18-Hが10.08、8-H,13-Hがppmにそれぞれ観測された。このように、ポルフィリン環の2,3-位に電子供与性基が置換すると、吸収磁場に影響を及ぼすことが観測された。 4.単結晶X線構造解析により、2,3-ジメチルポルフィリンの結晶構造が明らかになった。空間群:P2_<1/a>(#14),Z=4,a=20.801,b=7.992,c=10.647Å,β=101.997^・であり、構造は平面性を有し、結合角、原子間結合距離はポルフィリン結晶構造とほぼ一致していた。 ポルフィリン酸無水物を得るために次の条件で2,3-dimethylporphyrinの酸化反応を検討した。 1.過マンガン酸カリウムを用いての酸化 2.ニクロム酸カリウムによる酸化反応 3.硝酸による酸化反応 4.酢酸コバルト、酢酸マンガン存在下でのN-ヒドロキシフタルイミドを用いての酸化反応 上記、1-3は酸化条件が適合せず、ポルフィリン環が分解する結果となった。これに対し、酢酸還流下で4の反応を行った結果、メチル基の酸化、縮合による酸無水物が認められた。これより、ポルフィリン環が損なわれず、メチル基のみが酸化されているという結果が得られた。 今後、4の詳細な酸化条件の検討が行われ、ポルフィリンオリゴマー構築ルートの開拓に期待したい。
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