研究課題
基盤研究(C)
本研究は、金属錯体を固体基板表面へ二次元的に配列し、その上へ三次元的にボトムアップ化する方法により、新規なナノ錯体構造を固体基板や電極基板表面へ構築することを目的とした。特に、構造や化学的性質の異なる錯体分子ユニットを固体表面で連結化することでヘテロ型の積層構造体を創成し、その固液界面における化学機能を開拓することに力点を置いた。三核錯体-二核錯体ハイブリッド体の構築とプロトン共役電子移動能を利用したポテンシャル傾斜制御:界面における配位子置換を利用し、二核錯体を三錯体SAM上へ定量的に連結化した。固定された二核錯体のプロトン共役電子移動反応をpH1〜12の範囲で詳細に調べた。その結果、低pH領域と高pH領域で三核および二核ユニットのレドックス準位を逆転できることを見い出した。ポルフィリン-三核錯体ハイブリッド体の構築と電極表面集積:ポルフィリンユニットのレドックス特性、光機能、光電変換、さらに触媒能などの性質の発現を目指し、4-ピリジル基を含むポルフィリン配位子をルテニウム三核錯体と連結した新規ハイブリッド錯体を合体し、ジスルフィド配位子を介して金表面に固定化することに成功した。コバルトコリン錯体-三核錯体ハイブリッド体の構築と電極表面集積:コリン環の側鎖の一つに4-ピリジル基ペンダントを導入したコバルト(III)および-(II)錯体を合成した。この新規錯体は、ピリジル基を用いた錯形成が可能であり、"錯体配位子"として働く。すなわち、三核錯体の末端位へ錯形成により導入できれば、ビタミンB_12の触媒能を付与した新規ナノ構造体を構築することが可能となる。このハイブリッド体の合成ルート開発に注力した結果、所望のハイブリッド錯体の単離と特定を行ない、金電極表面へのSAM固定化と明瞭な電気化学応答の検出に成功した。
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