研究課題/領域番号 |
16550056
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野崎 浩一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20212128)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
|
キーワード | MLCT / リン光 / 有機EL / スピン軌道結合 / dd状態 / 輻射速度 / dd / イリジウム錯体 / ルテニウム錯体 / ゼロ磁場分裂 / 無輻射失活 / TDDFT |
研究概要 |
強いリン光性をもつ遷移金属錯体は有機ELや照明など次世代の発光デバイスとして最近注目されている。遷移金属錯体の強いリン光は、遷移金属原子のp, d軌道の非常に大きなスピン軌道結合に起因する。本研究では比較的低い計算コストで高い励起状態についての計算精度をもつ時間依存密度汎関数理論(TDDFT)にスピン軌道相互作用を取り入れることで、100原子を超えるような遷移金属錯体の輻射確率やゼロ磁場分裂などのリン光物性の理論計算を可能にするプログラム(TDDFT-SOC)を開発した。TDDFT-SOCを用いて代表的な強発光性遷移金属錯体であるIr(ppy)3やRu(bpy)3などについて計算した結果、ゼロ磁場分裂や三重項副準位の振動子強度などの実測値をかなり良く再現できた。更に、これらの光物性がC2vのM-bpyモデルを使って理論的に説明できることを示した。 Ru(bpy)3などのトリスキレート錯体のMLCT発光状態がどのような構造であるかについては30年近く議論されてきたが、依然決着がついていない。本研究ではDFT計算で得られた情報から、荒い断熱近似の下で発光スペクトルの振動構造などを計算し、実測結果と比較して詳細に検討した。その結果、MLCTはほぼ局在化しているが、bpyの骨格振動モードについての断熱近似が破れており、2つあるいは3つの局在化MLCTの振動波動関数が強く混合していることが明らかになった。 遷移金属錯体のMLCT状態がdd状態へ熱励起すると、寿命が著しく短くなり発光量子収率が小さくなる。これは発光効率の良い素子を設計する際に注意しなければならない問題の一つである。本研究では、Ru(bpy)3におけるMLCTの熱失活経路についてのDFT計算を行い、律速段階とその構造について明らかにした。
|