研究課題/領域番号 |
16550057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 大阪大学 (2005) 九州大学 (2004) |
研究代表者 |
小島 隆彦 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20264012)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | ルテニム錯体 / ピリジルアミン配位子 / プテリン / フラビン誘導体 / 酸化還元 / 非共有結合性相互作用 / プロトン共役電子移動 / ラジカル中間体 / 複素環補酵素 / ルテニウム錯体 / Tris(2-pyridylmethyl)amino / プテリンラジカル / 結晶構造解析 / 水素結合 / ルテニウム |
研究概要 |
三脚型ピリジルアミン配位子であるトリス(2-ピリジルメチル)アミン(TPA)およびその誘導体を補助配位子とする新規ルテニウム-複素環補酵素錯体を合成し、その結晶構造解析、分光化学的および電気化学的キャラクタリゼーションを行った。 1)ルテニウム-プテリン錯体 プテリン補酵素の2位アミノ基の役割を明らかにするため、天然のプテリン補酵素と同様に2位にアミノ基を有する、6,7-ジメチルプテリン(H_2 dmp)を配位子とする新規ルテニウム-プテリン-TPA錯体を合成した。そして、その結晶構造解析、分光化学的性質、酸化還元挙動、特にプロトン共役電子移動についての研究を行った。 [Ru(dmp)(TPA)]ClO_4は、結晶中で2位アミノ基とピラジン8位窒素との間の分子間水素結合により2量体化していた。このことは、ピラジン8位窒素の塩基性の高さを物語っており、ピラジン環におけるPCET挙動の駆動力としてそのプロトン受容性の重要性が示唆された。このことは、PCET中間体のラジカル種のESRスペクトルの解析結果とよい一致を示している。本研究の成果として以下の3点が挙げられる:1)天然プテリンの構造に近い、2位アミノ基を有するプテリン誘導体を配位子とするルテニウム錯体を合成し、その結晶構造を明らかにした;2)2位アミノ基への水素結合が、プテリン環のプロトン受容性を増大させ、酸化還元挙動の可逆性を向上させることを見出した;3)2位アミノ基の存在は、PCETの円滑な進行に重大な影響を及ぼすことを明らかにした。 2)ルテニウム-アロキサジン錯体 フラビン類縁体であるアロキサジンを配位子とする錯体を合成し、その前例のない配位様式を明らかにした。そのアロキサジン配位子と相補的な水素結合レセプターを合成し、それらの水素結合アダクトの結晶構造を明らかにした。その分子間水素結合は、アロキサジン配位子の酸化還元電位を変化させるばかりでなく、その一電子還元種であるπアニオンラジカル中間体の電子状態をも制御することを明らかにし、タンパク質中でのフラビン類の水素結合がその反応性制御に重要な役割を演ずることを明らかにした。この成果は、Angew, Chem.Int.Ed.のVery Important Paperに選ばれた。
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