研究概要 |
本研究では各種金属薄膜の表面形態を制御する技術を開発すると共に,表面プラズモン共鳴(SPR)現象や発光スペクトルの表面増強現象などの金属薄膜における特異な現象や物性を理解し,化学計測をはじめとして各種分野に利用できる金属薄膜を用いる新しい計測法を開発することを目的とした。得られた研究成果をまとめると以下のようになるが、これらは投稿中2報を含む学会誌等9報と2回の優先権出願による特許出願1件と特許成立見込み1件として既に報告している。 1、金属薄膜表面の形態観察と表面吸着種の状態分析と形態観察 雲母基板上にいろいろな温度で真空蒸着した金,銀,銅,アルミニウムをはじめとする各種金属薄膜の表面形態を観察し,金とアルミニウムにおいて走査プローブ顕微鏡の基板や反射分光法のミラーとして有用な原子レベルで平坦な表面を作製する条件を見出した。またアルミニウム薄膜について,単結晶薄膜として成長するエピタキシャル温度を決定した。アントラキノン-2-カルボン酸(AQ-2-COOH)を試料分子として,アルミニウム薄膜表面の自然酸化物上の吸着状態と吸着形態を検討し,この分子の吸着や薄膜形成に関する基礎的な知見を得た。 2、金属薄膜を蒸着した光ファイバーを用いる新規屈折率測定装置の開発 光ファイバーのコアの片面に金,銀,銅,アルミニウムを蒸着し,これらの金属薄膜におけるSPR現象を利用する屈折率センサーを作製し,センサーの応答特性を実験と理論の両面から評価し,新しい屈折率測定装置としての工業的な有用性を実証した。光源と検出器の小型化による測定装置の実用化に関する検討も行った。 3、金属微粒子が発光に及ぼす効果に関する研究 希土類元素を含むフッ化物ガラスのアップコンバージョン発光の基礎研究と金属微粒子による発光の増強現象に関する検討を行った。
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