研究概要 |
平成16年度の研究成果である,チアゾール5位でのC-H結合置換反応が,パラジウム触媒とフッ化銀の存在下に種々のヨウ化アリールとの反応を詳細に検討した結果,チオフェンでも同様な反応が進行することがわかった。さらにフッ化銀のかわりに,より安価な反応剤である硝酸銀/フッ化カリウムの組み合わせを用いても同様に反応が進行し,これらの添加剤を2から5回の分けて加えると収率が飛躍的に向上することも明らかとなった。 イミダゾールやピロールなど含窒素ヘテロ芳香族化合物の分子内CH結合置換反応の環化前駆体を設計し,反応をおこなうと,複雑な構造の含窒素縮合ヘテロ環が一挙に構築できることも明らかにした。 CH結合置換反応と末端アルキンのカップリング反応を組み合わせて利用することにより,2,5-ジアリールチアゾール,2,5-ジアリールチオフェンに対してアルキンスペーサーを有する化合物を種々合成することに成功し,アルキン導入による物性の変化を考察した。 また,チオフェンのCH結合でのホモカップリング反応を鍵反応として繰り返すことにより,構造が明確に制御された2〜8量体のオリゴチオフェンを効率よく合成することにも成功した。合成したオリゴチオフェンは炭素-愁訴結合をもつため,遷移金属触媒を用いるカップリング反応をおこなうことにより,さらなる官能基導入が可能である。一例として,末端アルキンを反応させアルキン部位をもつ種々のオリゴチオフェン類を合成してその機能評価をおこなった。予備的な知見としてオリゴチオフェン類の電子輸送性を見出した。さらなる諸物性を現在検討中である。
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