研究概要 |
本研究より以下の結果が得られた。 (1)(t-BuO)Ph_2SiCH_2CNを試薬とするPeterson反応では,脂肪族アルデヒドのみならず芳香族アルデヒドを用いても92:8から>99:1の高いZ一選択性が発現した。 (2)(PhO)_2P(0)CH_2C(0)NRR'を試薬とするHorner-Wadsworth-Emmons反応では,Ph_3SiCH_2CONR_2に及ばないまでもZ一選択的にオレフィンが得られ,尚且つ,Peterson反応では試薬として用いることができなかった窒素上に水素をもつ試剤でも反応が進行することが見出された。 (3)(CF_3CH_2O)_2P(O)CH_2C(O)N(OMe)Meまたは(o-TolylO)_2P(O)CH_2C(O)N(OMe)MeのWeinrebアミド型Horner-Wadsworth-Emmons試薬からZ一選択的に合成したオレフィンに対して有機セリウム試薬を反応させるとオレフィンをほとんど異性化させることなく効率良くα,β-不飽和ケトンに変換できることがわかった。また,不飽和Weinrebアミドの合成の際には,芳香族アルデヒドではStill型,脂肪族アルデヒドでは改良Ando型試薬がそれぞれ有効であった。 (4)Peterson反応において高い選択性が発現する反応機構を探るべくして検討したモデル化合物より,選択性は主にはじめのアルデヒドへのPeterson試薬の付加の段階で決定されている可能性が高いことが示唆された。また,Elcb反応では,立体電子効果に加えて立体障害が選択性の大きな要因となっていることが示された。
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