研究概要 |
1.アミノ酸-糖ジオール-脂肪族ジカルボン酸単位からなるポリエステルアミドの合成と生分解性 L-フェニルアラニンやL-アラニンとアジピン酸またはセパシン酸とから対応するジアミドジカルポン酸を調製した。これを1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール(DAG)または1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトール(DAM)とジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)存在下で重縮合させて目的とするポリエステルアミドを合成した。DAGやDAMの代わりに1,4-ブタンジオールや1,6-ヘキサンジオールを含むポリエステルアミドも合成した。NMRおよびIR分析により、これらのポリエステルアミドが規則正しい構造からなることを確かめた。これらのポリエステルアミドについて、酵素分解試験および土中埋没分解試験を行い、ポリエステルアミドの分子構造と生分解性との相関を調べた。脂肪族ジオールを含むポリエステルアミドに比べて、DAGやDAMを含むポリエステルアミドの分解性は低いことがわかった。 2.側鎖にヒドロキシル基を有するポリエステルアミドの合成と生分解性 L-酒石酸から2段階の反応を経て、2,3-O-イソプロピリデン-L-トレイトールを調製した。これを糖ジオール成分として用い、上記のアミノ酸と脂肪族ジカルボン酸とから調製したジアミドジカルポン酸とDCC存在下で重縮合させてポリエステルアミドを合成した。ついでそのイソプロピリデン保護基を外し、側鎖にヒドロキシル基を有するポリエステルアミドを得た。これらの酵素分解試験により、遊離のヒドロキシル基を導入することによって酵素分解性が顕著に増大することが認められた。また酵素分解とともに非酵素的加水分解性も増大することがわかった。 以上の結果から、本研究により再生可能な天然資源の糖ジオールとアミノ酸を活用して、構造の制御された生分解性ポリエステルアミドを合成する有効な方法を開拓することができたといえる。
|