研究概要 |
当該研究期間中に次の化合物を合成した。(i)異なる二種類の芳香環側鎖を向かい合った位置に導入したアームドサイクレン,(ii)異なる二種類の芳香環側鎖を隣合った位置に導入したアームドサイクレン,(iii)二枚の発色団を向かい合った位置に導入したダブルアームドサイクレン,および(vi)光学活性なテトラアームドサイクレン. 化合物(i)に対して:この配位子を用いてCu^<2+>との錯体を形成したところ,二次元マトリクス状の高分子状錯体を形成した.Cu^<2+>とAg^+との錯体では一次元の高分子状錯体であった.また,Cu^+とCu^<2+>との錯体では六角形状の高分子状錯体を形成していた. 化合物(ii)に対して:異なる二種類の芳香環側鎖を隣合った位置に導入したアームドサイクレンを合成した.この化合物については現在検討を続けている. 化合物(iii)に対して:この配位子を用いて各種金属に対する^1H NMR, UV-VISおよび蛍光スペクトルを用いた滴定実験を行った.その結果,導入する側鎖によって選択性が異なることを見出した. 化合物(vi)に対して:環状アミン骨格にキラル中心を1個導入したテトラアームドサイクレンを合成した.この化合物だけでは旋光度は低く,円偏光二色性(CD)スペクトルでは顕著なコットン効果を示さなかったが,Ag^+錯体を形成させた後に測定すると,旋光度の数値は大きくなり,CDスペクトルでは顕著なコットン効果を示した. 以上のことより,各種食虫植物型分子を合成し,錯体の構造ならびに機能,ダイナミクスについて検討を行った.本研究は継続して平成18年度以降もおこなう.
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