研究概要 |
1.合成 (1)インドールアルカロイドを分子認識素子とする新規DNA結合分子の合成法の開発:β-カルボリン誘導体を30種類以上,エリプチシン誘導体を約30種類新たに合成した。さらに相当するメチルニトロソユリア誘導体をそれぞれ合成し,各合成法を確立することに成功した.また,これらの化合物のDNA結合様式をPNA一軸配向膜偏光分光法を用いて決定した。 (2)1,6-ナフチリジン骨格を分子認識素子とする新規DNA結合分子合成法の開発:1,6-ナフチリジン骨格を母核とするDNA結合性新規メチルニトロソユリア誘導体の合成法を検討し,相当するメチルニトロソユリア体の前駆体を合成した.また、関連化合物としてキノロン、キノリンおよびトリアザナフタレン誘導体の高収率、高効率新規合成法を新しく開発することに成功した。特にトリアザナフタレンの中間体であるピリミジン誘導体の4成分連結反応による合成法と2-エチニルアニリンの二分子付加反応によるキノリンの合成法は従来にないまったく新しいタイプの合成法であり、注目に値する。 2.抗腫瘍活性の評価とDNA-ドラッグ複合体の構造解析 上記1-2で合成した各化合物の抗腫瘍活性をセルラインSarcoma 180,HeLa S-3,L1210を用いて抗腫瘍活性を測定し,IC_<50> 1μM以下の化合物を発見した.また,DNA-drug複合体の構造解析を分子動力学法を用いておこない,求めたDNA-薬物複合体の安定化エネルギーが結合定数の対数値に比例することを証明した。 3.DNA-targeting Alkylation MoleculeによるDNAのアルキル化 上記Iで合成したメチルニトロソユリア誘導体を用いてDNAのメチル化反応を行い、リンカーの長さ、種類がメチル化収率、グルーブ選択性、塩基配列選択性に及ぼす影響を調べた.その結果,メチル化のグルーブ選択性において最適のリンカー長があること,置換基の位置,母核の違いにより選択性が著しく変化すること等を明らかにした。
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